Activity Report
動画で学ぼう!「ソーラーシェアリング」の基礎知識&馬上さんの圃場見学
「千葉エコ・エネルギー株式会社」代表取締役 馬上 丈司(まがみ たけし)さんがソーラーシェアリングを実践している千葉市大木戸の自社農場を見学しました。
圃場で馬上さんにソーラーシェアリングの基礎知識をお話しいただき、短い動画にまとめました。ぜひ視聴ください!
見学風景の写真もあわせてご覧ください。
★4つの短いYou Tube動画(各5分程度)に分かれています。順番に視聴ください★
■動画1■
【 ソーラーシェアリング意義】(3:05)
農家の収入を増やし経営の安定化が目的のソーラーシェアリング。
農村のエネルギー自給、災害時のエネルギー確保、燃料価格の高騰等の課題へ解決策になる?
■動画2■
【ソーラーシェアリングにおける栽培作物の関係性】(4:59)
ソーラーシェアリングの下でどんな作物が育つのか、光が遮られることがマイナスにならないか?トラクターは使える?
■動画3■
【ソーラーシェアリングにおける経営収支】(5:13)
建設費はどれくらい?発電で得られる収入は?何年位で投資回収できる?
電気代がどんどん値上がりしている中、太陽光発電にメリットが出てくるのか。
■動画4■
【ソーラーシェアリング取り組みにおけるメッセージ】(4:40)
使用するエネルギーの98%を化石燃料に依存している日本の農業。エネルギー転換による農業・農村の未来のためにソーラーシェアリングに期待することは?
※ソーラーシェアリング圃場で動画撮影中の画像(訪問日:2022/11/27)。
「千葉エコ・エネルギー株式会社」自社農場
馬上さんが代表取締役を務める「千葉エコ・エネルギー株式会社」は、再生可能エネルギーを広めるために、馬上さんが大学院生や大学生と共に設立したコンサルタント会社で、千葉大発のベンチャー企業です。
会社の事業の一つとして、千葉市大木戸で耕作放棄地を活用したソーラーシェアリングの自社農場で野菜や果物の栽培を行っています。
1町歩(1ha)の明るく広々とした圃場の上に約2,800枚の太陽光パネルが設置されています。一般家庭約250-300軒分の電気を発電できます。
千葉エコ・エネルギー株式会社(大木戸農場)
「土気からし菜」の説明をする馬上さん。
訪問したのは11月末。里芋や伝統野菜「土気(とけ)からし菜」などが植えられていました。
果樹(ブルーベリー)の栽培
鉢植えのブルーベリーを栽培中。やや日差しを遮る方がブルーベリーは良く育つため、ソーラーシェアリングに適しているそうです。
鉢植えにすることで、果樹の収穫開始年を早める「根域制限栽培(鉢植え)」という新しい栽培技術の試験も行っていました。
裏面でも発電できる特殊なパネルで反射光でも発電できるよう、地面に白いシートを敷き詰めていました。
災害時に活用できる電源としてのモデル事業
ビニールハウスの上に設置した太陽光パネル。発電だけでなく、ハウスへの強い日差しを和らげる効果も期待されます。
令和元年の台風により、農場ならびに周辺地域で8日間停電した経験から取り組んだ、蓄電池をセットして災害時の電源としても活用するモデル事業として設置されています。
蓄電池
ハウスの上に設置された太陽光パネルで発電した電気を、この蓄電池に貯めていつでも使用できます。
ハウス内の冷蔵庫や照明器具のほか、草刈りロボットや電動自動車などにも使用しています。
充電式の草刈りロボット
蓄電池で貯めた電気を活用できる草刈りロボット。
遠隔操作、自走式で草刈りをしてくれるため、草刈りの労力が削減できると注目されている新しい農機具です。
充電式の超小型EV(電動自動車)
超小型EVコムス。こちらも、蓄電した電気を活用し畑の見回りなど農場周辺の移動に使用できます。
★見学を終えて…★
■冒頭の動画について:
ソーラーシェアリングの第一人者である馬上さんが、ソーラーシェアリングとは何か、とても分かりやすくコンパクトに動画で話してくださったので、少しでも多くの人に視聴いただきたいです。
■馬上さんのチャレンジについて:
作業用ハウスに可動式の太陽光パネル設置、充電して冷蔵庫、電動式の農機具や、EV小型車に活用。草刈りロボットもあり。裏面で反射光での発電できる新型パネルもあり。また「根域制限栽培(鉢植え)」で省力化した果樹栽培も実験していました。進化を続けるソーラーシェアリングや次世代農業技術など、先進的な取り組みが凝縮された、実験的な圃場でした。
馬上さんのチャレンジ、すごい!ソーラーシェアリングだけでなく、これからの農業を考えたい生産者や、もしかしたら、農業新規参入を検討している企業の方などが見たらとても刺激になると思いました。
■ソーラーシェアリングを広めるためには:
しかしながら、このようなチャレンジを続ける馬上さんから意外な発言あり。
ソーラーシェアリングや補助金があっても、地域の疲弊(地元高校の廃校など)や、若者が農業に魅力を見出しにくい環境などがここ千葉でも問題になっており、「持続可能」への危機感を感じているとのこと。
本気で農業を継続したいと考えて実践している農家グループや、真面目に挑戦したいと考えている企業などに、馬上さんのノウハウが上手く伝わり農業の活性化に結びつけられるよう、大地を守る・くらしから エネルギーを考える会は今後も情報発信していきます。