食の社会課題をビジネスの手法で解決
私たちは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念で明示しているのですが、食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決することで、持続可能な社会の実現を目指しています。
国内主要宅配事業である「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」をはじめ、子会社の「とくし丸」「Purple Carrot」など、いずれのブランドも、事業を通じ、食の社会課題を解決することを成長の糧としています。
食品廃棄率約0.2%、さらなる削減でゼロをめざす
当社の食品廃棄率は約0.2%となっており、一般食品小売では約5~10%であるのに対して、極めて低い水準を実現しています。
川上(畑、産地)・川中(流通)・川下(食卓)とサプライチェーン全体で廃棄を防ぐ体制を作れることに特徴があります。産地では、種を撒く前に買付け量を決める契約栽培により作りすぎないように生産してもらっています。流通過程では過剰発注の抑制や、加工品への利用により廃棄を削減し、さらに食卓においても主力商品のミールキット「Kit Oisix」が家庭での食品廃棄を約1/3に減らしているということがわかりました。
私たちは大切につくられた食品を、大切にお届けすると同時に、フードロスゼロを目指しています。
独自アルゴリズムが可能にする”サステナブルリテール”
私たちのビジネスモデルは、生産者とお客さまを直接つなぐ役割を担っており、サプライチェーン全体を持続可能にする「サステナブルリテール」の関係を築いています。
サステナブルな仕組みが成り立つ背景として、蓄積されたお客さまの嗜好情報と、天候によって左右される作物の生育状況とを、独自のアルゴリズムでマッチングさせる独自のサブスクリプションボックスを国内宅配事業において確立している点があります。その結果、畑の生育状況を反映した商品ラインナップを提案しながら、お客さまにとっては好みの商品を継続的に購入できる仕組みとなり、生産された作物の有効活用とお客さまに満足いただけるサービスとを両立しています。
また、気候変動は年々大きなリスクとなっており、私たちにとっても農作物の生育状況の変化、自然災害の甚大化による調達、配達物流への影響などのリスクがあります。
そのような背景からも、2020年11月にはグリーンシフト施策を発表しました。
ミールキット「Kit Oisix」のパッケージを植物由来プラスチックに切り替えるなどの取り組みを始めており、2026年3月末までにサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル(排出量と吸収量を均衡させ、GHG排出量実質ゼロ)を目標として掲げて活動を推進し、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいきます。
“おおきなかぶ”はみんなで抜くからサステナブル
事業以外でも、いくつかの社会的な活動を推進しています。
例えば、東日本大震災後、東北の生産者と、全国の食品流通企業との販路のマッチングや、商品プロデュースなどを行う一般社団法人「東の食の会」の立ち上げにかかわり、5年間で約150億円の流通総額を創出しました。
また、新型コロナウイルス感染者の治療あたる医療従事者の食を支援する「WeSupport Medical」を立ち上げ、100社以上の食品企業からの協賛を集め、100カ所以上の新型コロナウイルス感染症に対応をする病院に総額9億円相当の食品の寄付を実施しました。医療従事者からのご要望が落ち着いてきたことから、2021年よりこの仕組みを「WeSupport Family」として転用しひとり親世帯への支援を行っています。
いずれも、多くの他社を巻き込み、プラットフォームとすることで継続的な支援を実現しています。
童話「おおきなかぶ」は、みんなが力を出し合って抜くことに成功しました。
「大きな社会課題」の解決も、誰か一人が辛い想いをし、歯を食いしばって頑張るだけではサステナブルな活動になりません。そうならないような仕組みづくりを支援することで、地域社会への貢献もしていきます。
食のこれからをつくる、私たちの責任感と可能性
私たちにとって、事業や会社が成長することは、社会がより良くなることを意味しています。そのため、もし世界から解くべき食の社会課題が無くなると、私たちの存在価値は無くなるかもしれません。しかし、食の課題は無限にあり、ますます多様化しています。
私たちは、食の社会課題を解くことへの責任感と、自分たちだったら課題を解けるかもしれないという可能性を同時に感じています。事業をさらに広げることを通じて、よりよい社会、持続可能な社会をつくり、食のこれからをつくり、ひろげていきます。
オイシックス・ラ・大地株式会社 代表取締役社長