モニタリングと稚魚の放流に同行しました【2023年】

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モニタリングと稚魚の放流に同行しました【2023年】

当社では、うなぎは予約販売を中心に行なうことで過剰消費を抑えてフードロス削減につなげるほか、うなぎ商品のお買い上げ代金の一部を積み立てる『ささエールうなぎ基金』を通じて、うなぎの資源保護・回復に役立てています。この基金では、九州大学大学院農学研究院水産増殖学分野 特任教授の望岡典隆先生の研究を支援しています。望岡先生は、ニホンウナギの生息地の保全と調査を目的として石倉カゴを用いた研究をされており、福岡市内の須恵川の汽水域に設置している石倉カゴのモニタリングが今年も7月20日に実施されました。

12匹のニホンウナギを確認

今年の梅雨は各地で大雨となり、九州北部も7月上旬にかなりの雨量を記録しました。その影響で川が増水したこともあったのか、うなぎの隠れ家となるよう設置している石倉カゴ3基のうち2基は、カゴの中の石がほとんど砂に埋もれている状況でした。こうなると石と石の隙間がなくなり、うなぎはもちろんうなぎのエサとなるエビやカニなど小さな生き物も住みにくいのか、1基の石倉カゴには生き物は確認できませんでした。それでも残る2基から合計12匹のニホンウナギが確認できました。

うち6匹は過去にも石倉カゴを隠れ家にしていることが判明!

確認できたニホンウナギは身長、体重、胴回りなどを計測し、ICタグが埋め込まれているかもチェックしていきます。今回12匹のうち6匹についてICタグが確認でき、過去にもこの石倉カゴを隠れ家にしていたことが判りました。

今回も50匹の稚魚を放流

今年もタグを埋め込んだ約50匹の稚魚を放流。この稚魚が上流に向かって遡上し大きくなっていきます。この稚魚がどのようになっていくのか望岡先生に教えていただきました。
・日没後2時間がピークで遡上していく
・25センチくらいに育った時にオスメス分かれる
・上流に行く大きいものはメスが多い
・卵をたくさん持つには上流のほうがよい、エサも少ないが敵も少ない

うなぎ豆知識

ほかにも望岡先生からうなぎ豆知識を教えていただきました。
・うなぎは川のなかでも強い流れの場所より緩やかな場所を好む
・産卵のため川を下ってくる下りうなぎ(銀うなぎ)は外洋の産卵場へ旅立つまえに海水に体を慣らすため汽水域で一ヶ月半ほど過ごす
・銀うなぎは産卵への長い旅に向けて身体を軽くするため、骨密度が減っている。また、エサを食べないので、顎や歯は弱くなっている

貴重な稚魚を確認! 

今回のモニタリングでは珍しい稚魚も確認できました。この稚魚はグアム島近くの西マリアナ海嶺海域から北赤道海流と黒潮に乗ってシラスウナギとして博多湾に入り、多々良川の河口にたどり着き、さらに支流の須恵川にやってきて、それほど日数が経っていない個体。石倉カゴのモニタリング網の目合いぎりぎり引っかかる大きさなので、石倉カゴ調査でこのように確認できるのはとても珍しいことなのだとか。

  

鮭は産まれた川に戻って産卵します。うなぎも同様で、産まれたマリアナ海嶺に戻って産卵します。しかし、産卵場で生まれ、仔魚は海流に乗って運ばれ、シラスウナギへと変態のタイミングによって、中国、台湾、日本などの東アジアの川にたどり着くことになります。従って、育った川に戻る可能性は極めて低いと考えられ、日本で育った親うなぎの赤ちゃんは日本を含めた台湾や中国など東アジアのどこかの川で成長することになります。

その生態には分かっていないことが多いうなぎですが、「マリアナ海嶺で産まれて、約2500 kmの長旅の末に福岡市の須恵川にやってくる稚魚がいる」ことを実際に確認できたのは、モニタリングを続けていたからこそだと実感しました。

 

※ささエールうなぎ基金:Oisix、らでぃっしゅぼーや、大地を守る会の3ブランドで連携し2022年度に集まった寄付金額は総額1,819,275円(2022年4月1日〜2023年3月31日)。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

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