モニタリングと稚魚の放流に同行しました【2022年11月】

Activity Report

モニタリングと稚魚の放流に同行しました【2022年11月】

うなぎのお買い上げ代金の一部を積み立てて、うなぎの資源保護・回復に役立てることを目指す『ささエールうなぎ基金』。2021年に集まった寄付金額は総額488,350円(2021年4月1日〜2022年3月31日)。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。
この基金では、九州大学大学院農学研究院水産増殖学分野 特任教授の望岡典隆先生の研究を支援しています。望岡先生は、ニホンウナギの生息地の保全と調査を目的として石倉カゴを用いた研究をされています。

今年2度目のチャレンジ!石倉カゴのモニタリング

6月に実施したモニタリングが増水で中止になったこともあり、今年2度目のチャレンジとして11月24日に石倉カゴのモニタリングを実施しました。場所は福岡市内の須恵川の汽水域です。ニホンウナギは成長過程のなかで多くの時期を河川、とくに海水と淡水が混ざりあっている汽水域で過ごすことが知られています。今回はモニタリングに加えて稚魚の放流も行いました。

50匹の稚魚を放流

稚魚は、特別採捕許可証に基づいて福岡県で3月に採捕したシラスウナギを約8か月育成しました。餌は配合餌料を使用せず、天然のウナギが好んで食べているユスリカの幼虫通称「アカムシ」を与えています。このシラスウナギを水槽で飼育する際の隠れ家として、いろいろな木の葉を入れて試したところ、楠の葉がいちばん病気に罹らずに飼育できたのだそうです。

二ホンウナギが11個体見つかりました!

A倉・B倉・C倉と3つ設置している石倉カゴからそれぞれ8尾、2尾、1尾と11個体のうなぎを確認。そのなかでA倉で3尾、B倉で1尾が、過去のモニタリングで望岡先生がタグを入れた個体でした。今年6月にタグをつけた個体も1尾確認できました。B倉・C倉で個体が少ないのは、6月のモニタリングの際に、増水のためA倉のみで終了したことが影響したようです。メンテナンスできなかったB倉とC倉は石倉カゴ内に砂がかなり詰まっていて、うなぎが過ごせるスペースが少なかったのではないかとのことでした。

  

「前回は下りうなぎが獲れなかったのですが予備軍はいたので、12月に須恵川でリベンジモニタリングを計画しています」と望岡先生。続報が待たれます(*)。
今後は、エックス線マイクロアナライザーを用いて、須恵川の下りウナギ耳石の分析を行い、年齢や淡水域・汽水域・海域の期間の生活環境履歴を分析し、資源保護策立案の基礎データを収集する予定とのこと。ささエールうなぎ基金では引き続き、このうなぎ資源保護に向けた歩みを支援して参ります。

なお、望岡先生から嬉しいニュースが飛び込んできました。この石倉カゴを使ったモニタリングの研究論文が世界的な機関からアクセプトされたとのこと。
「Estuaries and Coasts 誌」という国際誌において2022年12月13日 付けで公開されています。タイトルは「Artificial Shelters that Promote Settlement and Improve Nutritional Condition of Japanese Eels in a Human-Modified Estuary」。以下のサイトで要旨をご覧いただけます。
要旨を読む

追記:国際誌で紹介された望岡先生の研究成果はこちらでも御覧いただけます。 (九州大学 NEWS 2023年1月17日)
研究成果を読む

*:望岡先生からの続報です。「12月22日、寒波の中、須恵川の石倉カゴ3基のリベンジモニタリングを行いました。ウナギは10個体とれましたが、残念ながら銀ウナギはいませんでした。」

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