安心安全な農産品や加工食品、ミールキットなどの食品宅配を展開するオイシックス・ラ・大地株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:高島 宏平)は、サービス基盤におけるマイクロサービスを用いた受注システムの構築の導入事例を発表いたします。
2000年から自然派食品宅配事業を手掛けるOisixは、約19万人のお客さまにサービスをご利用いただいています。長年のシステム改修でモノシリック化が加速している、事業の核となるサービスであるがゆえに新しい技術を実装できないなど、こうした悩みを抱える企業が多いとされる中、当社のサービス基盤においても、サービス開始から19年間作り上げたシステムに改修を重ねて、食品宅配サービスを提供してきました。そんな中、さらなるサービス向上とお客さまのニーズを迅速にサービスへ反映させるため、Microsoft Azureを採用するに至りました。今後は2020年を目処にサービス基盤が備える全機能をマイクロサービス化させる予定です。
Oisixのサービス基盤は、機能やロジック、データなどサービスで必要な全ての要素が単一モジュール化されているために、システムの実行順序や構造が複雑化し、コードを1行追加するだけでもそれが引き起こし得る全体への影響を考察しないとならない状態に陥っていました。また、2017年末からお客さまへ商品を配達するための情報を確定させる「受注確定バッチ」のシステムがお客さまの増加率に対応できない事態となっていました。
このような背景から、サービス基盤のマイクロサービス化にアプローチすべく、コンテナ技術の採用を決定するに至りました。
コンテナ型仮想化環境の開発プラットフォームであるDockerやKubernetesなどの採用事例が近年増加したことにより“安定した技術”と認識。2018年からコンテナ型仮想化を採用し技術開発に着手しています。
Oisixにおける会員数の推移データ
Oisixのサービス基盤はフロントエンドとバックエンドが複雑に絡み合った構造となっていましたが、一挙にマイクロサービス化することは大変なリスクがあります。そこで当社は1つひとつの機能を切り出して段階的にマイクロサービス化を進めることを決定しました。
AKSのコンテナ型仮想化を採用する上で有効なツールが備わっていることに加えて、手厚いサポートで当社のマイクロサービス化を成功に導いていただけることに期待し、 Kubernetesの構築や運用について、マイクロソフト社へ相談。 “Javaチャンピオン”であるマイクロソフトの寺田氏などスペシャリストの支援の下、マイクロサービス化に必要な機能、アーキテクチャ設計を議論してPOCまで行うHackFestの場を提供いただくなど、様々な協力を得られた結果 “これが最適だ”と確信できる仕組みを構築することができました。
ロジスティクスなど周辺システムとも連携するきわめてミッションクリティカルな機能である「受注確定バッチ」をマイクロソフト社の協力も得ながら3ヶ月でマイクロサービス化させることに成功しました。
これを初期実績にして他の機能にも着手。現在のRDBがEOLを迎える2020年にはサービス基盤が備える全機能をサービス化させる予定です。最終的には数百のマイクロサービスがAPIで連携し合う仕組みとなる見通しですが、Kubernetesによる運用の自動化によって工数を格段に減らすことができると考えます。ここで生まれるリソースを割り当てて、お客さまのニーズを迅速にサービスへ反映させていきたいと考えます。
“手法の選択はケースバイケースで、費用対効果や既存システムへの影響なども考えなければなりません。今回はコードの属人化を防いだり、運用をより容易にするための手法を提案しました。実際に最初のマイクロサービス化した「受注確定バッチ」はリリース後、Oisixにおける会員の伸長にもしっかり対応しながら安定して稼働しています。” (図1参照)
詳しい事例詳細につきましては日本マイクロソフト社のURLをご覧ください。
https://customers.microsoft.com/ja-jp/story/oisix-manufacturing-azure-api-monitor-mysql-jp-japan
2019年3月19日にエンジニア向け勉強会を
オイシックス・ラ・大地(株)にて開催いたします。
こちらの勉強会は日本マイクロソフト社の寺田氏にもご登壇頂く予定です。
詳しくはURLをご覧ください。
https://connpass.com/event/122427/
(イベントページのリンクとなります)
なお情報は随時更新されます。
オイシックス・ラ・大地株式会社(代表:高島宏平)は、有機・特別栽培野菜、添加物を極力使わない加工食品など安心・安全に配慮した食品の宅配サービスを「Oisix(おいしっくす)」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の3ブランドにて提供しています。また、Oisixでは、必要量の食材とレシピがセットになったミールキット『Kit Oisix』を展開し、累計出荷数が3,000万食(2018年12月時点)を越え、好評を得ています。
また、買い物難民を支援する移動スーパー事業「とくし丸」も順調に事業を拡大しております。当社は「これからの食卓、これからの畑」を理念に掲げ、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決する事業を推進しています。